パーキンソン病およびその関連疾患におけるミトコンドリアフェリチンに関する研究

対象者

2016年3月31日までの間に、滋賀医科大学病理学教室で剖検され、病理学教室やブレインバンクに登録されたパーキンソン病例、レビー小体型認知症と病理診断された剖検脳および非神経疾患例

研究のお願い

神経難病研究センターでは「パーキンソン病およびその関連疾患におけるミトコンドリアフェリチンに関する研究」という研究を行います。この研究は、2016年3月31日までの間に、滋賀医科大学病理学教室で剖検され、病理学教室やブレインバンクに登録されたパーキンソン病、レビー小体型認知症あるいは非神経疾患例と病理診断された剖検脳および臨床情報を調査する研究で、研究目的や研究方法は以下の通りです。直接のご同意はいただかずに、この掲示などによるお知らせをもってご同意を頂いたものとして実施されます。研究対象となる患者さんのご遺族の方におかれましては研究の主旨をご理解いただき、本研究へのご協力を賜りますようお願い申し上げます。この研究へのご参加を希望されない場合、途中からご参加取りやめを希望される場合、また、研究に関するご質問は下記の問い合わせ先へご連絡下さい。

研究の内容

(1)研究の概要について
研究課題名:パーキンソン病およびその関連疾患におけるミトコンドリアフェリチンに関する研究
研究期間: 2016年6月1日(倫理委員会承認後)~2021年3月31日
実施責任者: 滋賀医科大学神経難病研究センター  教授  遠山 育夫

(2)研究の意義、目的について 
 パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経が強く障害されますが、その原因についてはまだよく分かっていません。パーキンソン病の5-10%を占める家族性パーキンソン病の原因遺伝子は、これまで10種類以上知られていますが、そのいくつかはミトコンドリア機能に関与している遺伝子です。さらに、MPTPやロテノン、アンノナシンといったミトコンドリアに機能障害を起こす薬物により、ヒトや実験動物においてパーキンソン病様の病態が起こることから、パーキンソン病の発症にミトコンドリア機能異常が関与していると推測されています(これをミトコンドリア機能障害仮説と言います)。また、神経伝達物質ドパミンがモノアミン酸化酵素で代謝される際に過酸化水素が生じること、ドパミンの合成酵素であるチロシン水酸化酵素の活性に補因子として鉄が必要であり、ドパミン神経は鉄を多く含むこと。2価の鉄イオンと過酸化水素の存在で強い酸化作用をもつヒドロキシラジカルを生じる (フェントン反応)ことから、酸化ストレス仮説もまた、パーキンソン病の原因として有力です。私たちは、パーキンソン病のミトコンドリア機能障害仮説と酸化ストレス仮説の両方に深く関わる分子としてミトコンドリアフェリチンに注目しました。そして、これまでに、ミトコンドリアフェリチンが、サルの黒質ドパミン神経に多く含まれること、神経芽細胞にミトコンドリアフェリチンを強制的に発現させると過酸化水素による酸化ストレスから細胞を保護すること、またミトコンドリアの形態を変化させること、ミトコンドリアフェリチンがパーキンソン病の原因蛋白のひとつであるアルファシヌクレインの発現を制御すること、などを見いだしました。これらの結果は、ミトコンドリアフェリチンが、パーキンソン病の発症機構に深く関わっている可能性を示唆しています。そこで本研究では、滋賀医科大学が所有しているパーキンソン病および年齢をマッチさせた正常対照例の剖検脳標本におけるミトコンドリアフェリチンの役割を神経病理学的手法で検討します。パーキンソン病患者脳におけるミトコンドリアフェリチンの役割を解明することで、パーキンソン病の病態の一端を明らかにできると期待されます。ひいては、新しい治療法へとつながる可能性があり、患者さんやそのご家族へ貢献できると考えています。

(3) 研究の方法について
 本研究は、本学病理学教室やブレインバンクに保管されている剖検脳標本を用いる後ろ向き研究です。具体的には、解剖センターとヒューマンサンプル室に保存されているホルマリン固定標本、ホルマリン固定パラフィン包埋標本、凍結サンプルの既存試料を用います。本学で保管されているパーキンソン病例、レビー小体型認知症例を15症例、非神経疾患対照例を15例用います。剖検脳からパラフィン切片あるいはクリオスタット標本を作製して、神経病理学的染色を行います(HE染色、鍍銀染色、鉄染色等)。ミトコンドリアフェリチンの局在や発現を免疫組織化学法、ウエスタンブロット法にて検索し、パーキンソン病およびその関連疾患と非神経疾患対照例の間での、局在や発現の違いを比較します。局在を詳細に検討するため、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアなどの細胞マーカーやチロシン水酸化酵素などの神経伝達物質マーカーとの免疫二重染色やミラー切片での免疫染色を行います。さらにαシニクレインやタウ、リン酸化タウ、βアミロイドなどの神経難病原因蛋白の免疫染色やミトコンドリアマーカー、酸化ストレスマーカー、ミトファジーマーカーとの免疫二重染色やミラー切片での免疫染色を行います。これらを通して、ヒト脳におけるミトコンドリアフェリチンの局在を明らかにするとともに、パーキンソン病、レビー小体型認知症で、ミトコンドリアフェリチンおよびミトコンドリアなどの変化を明らかにします。

(4)予測される結果(利益・不利益)について
 参加頂いた場合の利益・不利益はありません。

(5)個人情報保護について
  研究にあたっては、個人情報を直接同定できる情報は使用されません。また、研究発表時にも個人情報は使用されません。

(5)−⑴.試料・情報は、滋賀医科大学の上記(1)、(2)、(3)の目的と方法によって使用します。

(5)−(2) 試料・個人情報は、他機関に提供しません。

(5)−(3) 試料を利用するのは、以下の研究代表者と研究分担者です。

 研究責任者 神経難病研究センター・神経診断治療学部門  教授   遠山 育夫  内線 2330
 研究分担者 神経難病研究センター・神経診断治療学部門  准教授  柳沢 大治郎
         神経難病研究センター・神経診断治療学部門  特任助教 加藤 智子
 病理学講座(分子診断病理学)        
         教授   杉原 洋行 病理学講座(分子診断病理学)        
         准教授  向所 賢一
病理学講座(疾患制御病理学)        教授   小笠原一誠
滋賀医科大学附属病院薬剤部  教授   寺田 智祐
神経難病研究センター・神経診断治療学部門  大学院生 楊 銘春
神経難病研究センター・神経診断治療学部門  大学院生 GUAN HONGPENG

個人情報保護管理者 寺田 智祐(滋賀医科大学附属病院薬剤部 教授) 077-548-2680)

(5)−(4) 試料・情報を管理する責任者は、下記の研究代表者です。         
    滋賀医科大学神経難病研究センター  教授  遠山 育夫

(5)−(5) 研究対象者のご遺族の求めがあれば、試料・情報を研究に使用しません。

(5)−(6) 使用停止を希望する場合は、(7)の問い合わせ先に、メールないしお電話でご連絡下さい。

(6)研究成果の公表について この研究成果は学会発表、学術雑誌およびデータベースなどで公表します。

お問い合わせ先

滋賀医科大学神経難病研究センター 特任助教  加藤智子  
住所:520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町  
電話番号: 077-548-2331
メールアドレス: tkato@belle.shiga-med.ac.jp