アルツハイマー病におけるa1-キメリンの機能的意義の解明

対象者

 20161231日までの間に、滋賀医科大学病理学教室で剖検され、病理学教室やブレインバンクに登録されたアルツハイマー病と病理診断された剖検脳および非神経疾患例

研究のお願い

神経難病研究センターでは「アルツハイマー病におけるα1-キメリンの機能的意義の解明」という研究を行います。この研究は、1983 3 24 日から20161231日までの間に、滋賀医科大学病理学教室で剖検され、病理学教室やブレインバンクに登録されたアルツハイマー病と病理診断された剖検脳を調査する研究で、研究目的や研究方法は以下の通りです。直接のご同意はいただかずに、この掲示などによるお知らせをもってご同意を頂いたものとして実施されます。研究対象となる患者さんのご遺族の方におかれましては研究の主旨をご理解いただき、本研究へのご協力を賜りますようお願い申し上げます。この研究へのご参加を希望されない場合、途中からご参加取りやめを希望される場合、また、研究に関するご質問は下記の問い合わせ先へご連絡下さい。

研究の内容

(1)研究の概要について
研究課題名:アルツハイマー病におけるα1-キメリンの機能的意義の解明
研究期間:  (倫理委員会承認後)2021331
実施責任者: 滋賀医科大学神経難病研究センター  
教授  遠山 育夫


(2)研究の意義、目的について 

認知症は大きな社会問題であり、その中で最も多い認知症はアルツハイマー病です。アルツハイマー病は、脳に蓄積した老人斑の主成分であるβ-アミロイド(A β)と異常にリン酸化されたタウ蛋白が主成分である神経原線維変化と、それらにより引き起こされると考えられる神経細胞死を特徴とします。発病の原因としては、家族性アルツハイマー病はβ-アミロイド前駆体遺伝子(APP)やプレセニリン遺伝子の変異によるAβの産生増加による蓄積が考えられていますが、大部分のアルツハイマー病の原因についてはまだよく分かっていません。近年、Aβは可溶性のオリゴマーが強いシナプス毒性を示すとされており、その酸化ストレスが神経軸索内の微小管結合蛋白であるタウのリン酸化と関連し、アミロイド病変からタウ病変につながる因子になっている可能性が指摘されています。また、神経細胞死の原因としては、Aβオリゴマーによる神経毒性、神経原線維変化の蓄積による機能障害、酸化ストレス、炎症反応など、様々な仮説が提唱されていますが不明な点が多くあります。このような背景のもと、アルツハイマー病の原因を解明する上で、Aβと神経原線維変化の因果関係を明らかにすることは重要な課題であると考えられます。我々は、以前にアルツハイマー病患者の脳においてα1-キメリンのmRNAの発現が有意に減少しているという事実を発見しました。α1-キメリンはAβと結合するタンパク質としてスクリーニングされ、タウのリン酸化と関係が疑われています。そこで、本研究では、アルツハイマー病におけるα1-キメリンのタンパク質レベルでの発現を検討し、アルツハイマー病の原因を探ることを目的とします。α1-キメリンが神経原線維変化の形成にどのように関わっているのかを探求することは神経原線維変化の解明において重要な手がかりをもたらすと考えられます。このα1-キメリンの役割を解明することで、アルツハイマー病の病因の一端を明らかにできると期待されます。ひいては、α1-キメリンタンパク質を利用したアルツハイマー病の新しい治療法へとつながる可能性もあり、患者さんやそのご家族へ貢献できると考えています


(3) 研究の方法について  研究は、本学病理学教室やブレインバンクに保管されている剖検脳標本を用いる後ろ向き研究です。具体的には、1983324日から20161231日までの間に本学附属病医院及び「福祉村病院で病理解剖され、本学解剖センターとヒューマンサンプル室と福祉村ブレインバンク(医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所、愛知県豊橋市)に保存されているアルツハイマー病例を5症例、非神経疾患対照例を5例用います。剖検脳からパラフィン切片あるいはクリオスタット標本を作製して、神経病理学的染色を行います(HE染色、鍍銀染色等)。これらの脳におけるα1-キメリン、タウ、リン酸化タウ、β-アミロイドなどの神経難病原因タンパク質の発現や局在をこれらに結合する抗体や化学物質で、免疫組織化学的手法やウエスタンブロット法を用いて、アルツハイマー病と非神経疾患対照例の間での局在や発現の違いを比較、検討します。局在を詳細に検討するため、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアなどの細胞マーカーとの免疫二重染色やミラー切片での免疫染色を行います。さらにタウ、リン酸化タウ、β-アミロイドなどの神経難病原因タンパク質の免疫染色や細胞内シグナル伝達物質マーカーとの免疫二重染色やミラー切片での免疫染色を行います。これらを通して、ヒト脳におけるα1-キメリンの局在を明らかにするとともに、アルツハイマー病におけるニューロンおよびシナプスなどの変化を明らかにします

(4)予測される結果(利益・不利益)について

参加頂いた場合の利益・不利益はありません。

()個人情報保護について

研究にあたっては、個人情報を直接同定できる情報は使用されません。また、研究発表時にも個人情報は使用されません。

(5)−⑴.試料・情報は、滋賀医科大学の上記(1)、(2)、(3)の目的と方法によって使用します。

(5)−(2) 試料・個人情報は、他機関に提供しません。

(5)−(3) 試料を利用するのは、以下の研究代表者と研究分担者です。

研究代表者

神経難病研究センター・神経診断治療学部門  教授   遠山 育夫  内線 2330

分担研究者

神経難病研究センター・神経診断治療学部門  特任助教 加藤 智子    内線 2331

病理学講座・疾患制御病理部門        教授    小笠原 一誠 内線 2172

病理学講座・分子診断病理学部門       教授    杉原 洋行  内線 2168

個人情報保護管理者: 神経難病研究センター・神経診断治療学部門 准教授 柳沢大治郎  内線 2331

(5)−(4) 試料・情報を管理する責任者は、下記の研究代表者です。

        滋賀医科大学神経難病研究センター  教授  遠山 育夫

(5)−(5) 研究対象者のご遺族の求めがあれば、試料・情報を研究に使用しません。

(5)−(6) 使用停止を希望する場合は、(7)の問い合わせ先に、メールないしお電話でご連絡下さい。

()研究成果の公表について

この研究成果は学会発表、学術雑誌およびデータベースなどで公表します。


お問い合わせ先

滋賀医科大学神経難病研究センター 特任助教  加藤智子 
住所:520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町

電話番号: 077-548-2331  メールアドレス: tkato@belle.shiga-med.ac.jp