医療情報部は、病院内の診療に関わるすべての「医療情報」を専門的に扱う診療・教育・研究支援部門です。質の高い医療に貢献すべく、「医学情報センター」を前身として、2001年に設置されました。
昨今、診療録(カルテ)は紙ではなく、コンピュータで扱う「電子カルテ」となりました。電子カルテは、さまざまな検査機器、薬剤処方システム、看護支援システムなどとも院内ネットワークで連携し、「病院情報システム」を構成しています。患者さんの個人情報を確実に守りながら、医療現場で毎日のように生まれる膨大な診療データを、日々の診療・治療・看護などに役立てられるように、病院情報システムには、24時間365日休みなしで安定稼働することが求められています。医療情報部では、まさにそうした病院の心臓部分ともいえる病院情報システムを支えているのです。
医療情報部は、医師・看護師・臨床検査技師・薬剤師などで構成されており、クオリティマネジメント課医療情報係の技術系・事務系職員との協力体制を築いています。また、医療従事者が診療に専念できる環境を実現するために、医療情報部連絡協議会などを通じて、各診療部門とも密に連携しています。さらに、医療情報部の医師は自ら日常の診療も行い、医療情報を扱うことで、医療現場におけるさまざまな気付きを柔軟にシステムに取り入れ、システムに不具合があればいち早く察知して対策することで、患者さんに対してのみならず医療従事者に対しても、やさしい病院情報システムを提供できるように心掛けています。
こうした医療分野と情報分野の橋渡しができる人材を育成し、積極的に医療に携わることで、医療の安全性を向上し、病院の効率化や意思決定サポートに貢献することを目指しています。
当院では診療データをしっかりと守りながら効率よく運用するため、2010年に初めて電子カルテが導入され、2021年にはそれから数えて第3期にあたる電子カルテ(愛称 Niho3)に移行しました。また、検査・放射線・薬剤・栄養・手術などの部門システムとの緊密な連携、外来患者案内表示盤システム、スマートフォンを用いた患者呼び出しシステムなどの導入で患者サービス向上にも貢献しました。最近では、2024年に完成した新病棟(E棟)Ⅰ工区の整備にも関わりました。
現在はそれらの安定稼働を支えながら、新病棟(E棟)のⅡ工区(2026年まで)の整備と移転後の跡地利用に向けても貢献するとともに、2027年に更新予定の病院情報システムの設計と導入に向けた準備を進めています。
さらに病院情報ネットワークのセキュリティを強化し、最近話題のサイバー攻撃を想定した訓練や対策を含め、患者さんにこれまで以上にご安心いただける環境の実現に向けた取り組みも続けています。
滋賀医科大学は滋賀県全域をつなぐ医療情報連携ネットワーク「びわ湖あさがおネット」の構築にも早くから協力しており、病院間または病院と診療所・訪問看護ステーション・介護施設から自宅介護までを繋ぎ、患者さんが安心して暮らせる医療環境を実現するために日々がんばっています。