本院は、2013年4月より総合周産期センターに認定され、大津赤十字病院、近江八幡市立総合医療センター、長浜赤十字病院とともに滋賀県の周産期医療体制の中核を担っております。
また、滋賀県唯一の大学病院でもあることから、各領域の専門医の協力を得て、あらゆる症例に対応することが可能であり、24時間体制で他の周産期医療機関からの救急患者等の受け入れを行っています。本院では常に産科医と新生児科医が合同で症例検討会を開催するなどして、密に連携をとりながらハイリスク妊娠・分娩の管理及び新生児治療を行っております。
2002年5月には高度周産期医療チームが発足(従来の産科DIC救急班、1994年発足)し、産科DIC(播種性血管内凝固症候群)のみならず高度な集学的治療を要する重症母体疾患に対しても、救急・集中治療部、救急科、麻酔科、外科などの他科専門医師と連携し、24時間体制で治療に従事しています。
なお、2019年には母体搬送123件、産褥搬送40件を受け入れており、滋賀県下の周産期医療に大きく貢献しております。
外来診療においては、地域の各周産期医療機関の先生方にもご利用いただけるよう、2007年2月に胎児超音波外来を開設し、胎児異常のスクリーニング・診断を行っております。以降、胎児心奇形をはじめとした多くの胎児疾患の診断を行っており、現在も年間50例を超える症例のご紹介をいただいております。
2017年より骨盤位に対する外回転術を開始しました。現在までに年間10〜15例程度の症例をご紹介いただいており、2020年3月時点では80%以上の成功率を維持しております。妊娠34−35週でも骨盤位であった場合にご紹介いただき、妊娠36週で当院にて処置を行います。(原則として一泊入院で行っております)
新型出生前(遺伝学的)検査とも呼ばれ、非侵襲的な出生前診断であることから、NIPT(non-invasive prenatal testing)と呼ばれています。この検査は母体血をのみを用いて行うため胎児への侵襲がありません。検査が出来る施設には基準が有り2015年まで京滋地区で検査ができる施設はありませんでした。当院では2015年より、まずは院内向けの検査としてNIPTを開始し、2016年よりは院外からの紹介受付も開始し、現在はNIPT施設として出生前診断に取り組んでいます。詳細は、母体血中cell-free DNAを用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT検査)を参照してください。
上述したNIPT検査は非確定的検査と呼ばれるものですが、侵襲的ではありますが、確定的検査と考えられている羊水染色体検査も当院では行っております。
無心体双胎妊娠に対するRadiofrequency ablation(経皮的ラジオ波焼灼療法)、胎児胸水や先天性嚢胞性肺疾患に対する胎児胸腔羊水腔シャント術、胎児貧血に対する胎児輸血を施行しております。
本院では、2016年1月に滋賀県下の各地域の周産期医療機関の協力のもと、効率的かつ安全な分娩を通じて地域住民に貢献することを目的として、滋賀医科大学医学部附属病院産科オープンシステム(セミオープンシステム)を開設しました。
このことにより、妊娠・出産における「安全性」の向上を図り、健診は妊婦の身近な地域の診療所でかかりつけ医が行い、分娩は高度な周産期医療を提供できる医療機関でかかりつけ医とともに行う「安心感」が持て、妊婦さんに「納得」していただけるお産を提供しています。本システムは限られた医療資源の有効活用という観念から新たな診療形態として近年注目を浴びており、開始以来より2020年3月31日現在までに166症例が本院で分娩され、母児ともに退院されました。
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