近年、少子少産化という社会情勢の変化を背景に高齢出産など妊婦自身が潜在的に有するリスクが増加しています。しかし、その一方で出産に対する安全神話が社会に広く普及し、妊娠・出産に対する快適性を求める妊婦のニーズの多様化という現象が生じています。
このような現状を鑑み、当科では大学病院として各科専門医師らと連携して種々の合併症を有するハイリスク妊婦の妊娠・分娩管理を行うため、高度周産期医療チームとして重症疾患を有する母体に対して集中治療部・救急部・麻酔科・外科などの他科の専門医師と協力して高度な集学的治療を提供し、県下の危機的状況の妊産婦の救命に務めています。
当院は、2013年4月より総合周産期母子医療センターの認定を受けており、2018年4月にはNICU(新生児集中治療室)を3床増床し、現在MFICU(母児胎児集中治療室)6床、NICU12床、GCU(回復治療室)12床で24時間体制で母体搬送の受け入れはもちろん、出生後から処置が必要な新生児に対しても、胎児診断を行い、小児科、小児外科および形成外科と連携をとりながら適切な母体・胎児管理から出産後の新生児管理・治療につなげています。
また、2012年より胎児の状態が急速に悪化し、一刻も早く児を娩出する必要がある場合に、帝王切開の決定から児娩出までを約15分とする超緊急帝王切開術(グレードA)という院内救急システムを確立し緊急事態の胎児救命に尽力しています。
なんらかの原因によって血液の固まる力が高まり、血管内に無数の血の塊(血栓)ができる病気で、臓器不全や出血傾向が強まるという状態になってしまいます。
麻酔をした妊婦さんに細い針を刺し、高周波電流を流すことで、無心体(心臓や頭部が形成されていない存在)への血流を止める手術です。健常な胎児の心臓負荷を改善でき、救命の可能性を高めることができます。
お腹の中の赤ちゃんの胸腔と羊水腔にチューブを留置することで、胸に溜まった水が持続的に羊水腔の方に流れていくため、水で圧排されていた肺が膨らみ、心臓の機能が改善します。
2021 年 11 月より、点滴からお薬を投与する和痛分娩を開始いたしました。
Q1.和痛分娩とは?
A1.お産に伴う痛みを、お薬の力を使って和らげるというものです。
Q2.和痛分娩の方法は?
A2.レミフェンタニルという医療用麻薬(痛み止め)を静脈血管(点滴)から 投与する方法を新たに始めます。
Q3.どのような人が対象ですか?
A3.妊娠 36 週以降で経腟分娩可能と医師が判断した方で、和痛分娩を希望され る方が対象です。ただし、以前に帝王切開をされた方、子宮手術後、常位胎盤早 期剥離の既往がある方などは対象外です。
Q4.危険性はありますか?
A4.お薬の影響により、お母さんの呼吸が浅くなる可能性があります。そのた め、和痛分娩中は、血中酸素濃度や心電図をはかる装置、胎児心拍をモニターす る分娩監視装置を常に装着し、定期的な観察を行います。
Q5.希望する場合にはどうすればいいですか?
A5.妊婦健診受診時に外来担当医にお申し出ください。 (陣痛発来、破水等による入院後のお申し出は原則お受けできませんのでご了承 ください)
Q6.費用はいくらですか?
A6.通常の分娩費用に加えて全額自費で約 5 万円必要です。
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