厚生労働省は2013年より、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加えた5大疾病を地域医療計画に盛り込む疾病として認定しました。精神疾患により治療を受けられる方が年々増加し、現在年間約320万人、すなわち30-40人に1人の方が入院もしくは外来通院をされています。
かつてクレペリンが、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、てんかんを三大精神病と呼びましたが、現在ではこれに加えて認知症や不安障害(パニック障害、社交不安障害、強迫性障害など)、神経発達症(注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症など)、依存症など様々な疾患が世間で知られるようになりました。
当科ではこれらの精神疾患に対し、より充実した生活を取り戻すことができることを目指しています。
精神疾患の初期症状として重要な睡眠障害に対する診療に力を入れ(睡眠学会認定施設Aを取得)、うつ病に対しては標準的薬物療法に加えて修正型電気けいれん療法を導入し高い寛解率を誇ります。統合失調症に対しては治療抵抗性統合失調症に対する治療薬クロザピン(商品名クロザリル)を使用できる施設です。
なお、他の医療機関では行えない高度な診断及び治療を行うために、新来患者さんに関しては完全予約制を導入しております。予約のない場合には、診察をお断りする事があります。
うつ病や躁うつ病に対して以下のような治療を行っています。
近赤外線光トポグラフィー(NIRS)を用いて他の精神疾患との鑑別診断に役立てています。
本院は、日本睡眠学会認定の医療施設です。不眠や過眠、睡眠時の異常行動、睡眠リズムの障害など様々な睡眠障害に対して、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)や睡眠潜時反復検査(MSLT)など、大学附属病院の利点や特徴を生かした診療を行っています。
ナルコレプシー、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、睡眠時無呼吸症候群などは上記検査が診断に有用であり、予約制で検査を行っています。また、不眠症に対する認知行動療法、概日リズム睡眠障害や季節性感情障害への高照度光療法が可能です。
精神科リエゾンチームや緩和ケアチームによる精神科的治療介入や、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)の観点からがんに苦しむ患者さんへの精神的サポートのための緩和ケア外来(こころ)の開設をしています。
クロザピン(商品名クロザリル)が使用可能な医療機関として登録されています。クロザピンは治療抵抗性統合失調症に対して有効性が確認されている薬で、数種類の抗精神病薬を使用しても症状が改善しない患者さんに対して一定の効果があるとされています。
しかし、クロザピンは特有の副作用があるので、服薬開始時には3~4ヶ月の入院治療が必要です。また一般的な非定型抗精神病薬以外にも、各種新薬の治験も適宜行っております。さらに薬物血中濃度測定、遺伝子多型、薬物代謝認知機能・画像検査、睡眠ポリグラフなどを用いて、病状を多角的に評価しています。
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